今西酒造へ酒造体験

奈良・今西酒造 <代表銘柄・みむろ杉>

日本酒の人気銘柄「みむろ杉」。
一貫してフレッシュな味わいが特徴で、甘過ぎず辛過ぎない。程々に果実味があり、また程良く日本酒らしいアルコール感がある。まさしく中庸に至る酒質で万人の支持を集めている、食に寄り添う日本酒だ。
その「みむろ杉」を醸造する今西酒造から酒造り体験の許可をいただいたので、奈良にある蔵元に赴き、生まれて初めての酒造りを体験してきた。

▼今西酒造へ到着。年季の入った建物で、刻まれてきた歴史の長さが伝わってくる。
今西酒造

庭の見える庭に通され、オリエンテーションを受けた。想像していたよりはるかに本格的な酒造り体験をさせてもらえるらしい。

▼綺麗な中庭に見とれながらお茶をいただいた。
今西酒造

この日は到着したのが午後というのもあり、ほとんど造りは終わり残すは後片付けのみとのことだった。

▼後片付けが終わった後の作業場。整頓されている。
今西酒造

米麹を冷ますために麹室から運んだり、道具を片付けたりしてたらあっという間に日が暮れ、夕飯を蔵でごちそうになることになった。

夕飯はなんと今西社長のご母堂手作り!酒鍋をはじめ串焼き、蒸し、揚げ物、焼き魚など色とりどりの料理をいただいた。

▼酒鍋の準備中。この後並べ切らない程の料理が運ばれる。
今西酒造

▼みむろ杉がズラリ勢ぞろい。造りや原料による味の違いを改めて認識する。今西酒造

料理も酒もひたすらにおいしく、会話も弾む。今西酒造が今行っている取り組みや今後の展望などを聞き、酒造りに対する情熱をしっかりと受け取ることができたと思う。



翌日は早起き。午前6時には蔵に着いて作業開始だ。

▼増田屋スタッフの二人。馴染んでいるがみむろ杉の社員ではない。さて、仕事だ。
今西酒造

酒米を蒸す。甑(こしき)に火を入れ、蒸気が噴き出す。しばらくすると米の炊けるいい香りがしてきた。

▼甑から蒸気が噴き出す。近くに行くと熱気がすごい。たちまちメガネが曇る。
今西酒造

蒸している間に別の酒米を洗う。限定吸水は1秒単位の厳密な時間管理が求められた。
その年の米の溶け具合と過去のデータから最適な吸水時間を割り出す。

▼あえて手間をかけ、小分けにして米を洗う。洗浄ムラを無くすためだ。
今西酒造

米が蒸し終わったので運んでタンクに入れる。
重労働だ!

▼甑からスコップですくってコンベアに流す。重い…。今西酒造

▼コンベアから流れてきた米を布で受けてタンクまで運ぶ。重い…!
今西酒造

その後少し休憩し、麹室に入る。蔵の心臓と呼ばれる場所で、行われる工程は非常に重要なものばかりだ。
今回は米麹に種菌をつけたり、温度や経過を観察し手を入れる製麹作業をたっぷりと体験させてもらった。これは非常に貴重な体験なので、なんともありがたいことだ。

▼麹室での作業中。暑くて蒸した空間での力仕事だ。今西社長は上半身裸になっていた。今西酒造

この米麹は、27BYの「みむろ杉 特別純米 辛口 露葉風」に使われるものであった。上手くできたか不安だったが、後日、完成したお酒のサンプルをいただき、無事においしいお酒になっていたので安心した。

麹室に入って2時間ほど経ったかという頃ようやく作業が終了し、外に出る。これも重労働だった!

これにて酒造り体験は一通り終了。力仕事ばかりで大変に疲れたが、何もかもが貴重な体験だったと思う。これから日本酒の魅力を伝えていくにあたって、この経験が活きるのは間違いないだろう。とにかく、これほど腹を割って我々と接してくれた今西酒造には感謝しきれない。

みむろ杉はおいしい酒で元々お気に入りの銘柄だったが、今回のことで我々にとってはそれ以上に思い入れのある酒となった。こういった繋がりが今後の日本酒業界を支えていく力になるのだろうと思う。増田屋スタッフ一同、日本酒の伝道師たるために、蔵元との密なコミュニケーションを継続していきたい。

▼今西社長の言葉「直球勝負。小細工抜きでウマい酒を造っていきたい。」
今西酒造

増田屋本店
大栗・小林